妊娠・出産にかかる費用(妊婦健診・出産準備品・出産)はいくら?
(最終更新日:2020年07月28日)
妊娠や出産に、どのくらいの費用がかかるかご存知ですか?妊娠して出産するまで、妊婦健診を受けたり、出産準備のために様々なものを買いそろえたり、出産をする病院等の費用もかかります。
ここでは、妊娠や出産にどのくらいの費用がかかるのかお伝えしていきます。
目次
妊娠/出産にかかる費用は原則、健康保険適用外
まず、妊娠/出産にかかる主な費用をリストアップすると以下のようになります。
・妊婦健診費用
・その他検査費用
・出産準備品(マタニティウェア・赤ちゃん用品)の費用
・出産費用
基本的に妊娠、出産は病気やケガではないので、健康保険が適用されません。
したがって、妊婦検診費用(約10万円)、出産費用(約50万円)は健康保険が適用されず、全額自己負担となります。
しかし、妊娠や出産については公的な補助制度(手当/助成)がいくつか用意されています。それらをしっかり申請し、受給すれば、経済的な負担を大きく軽減することができます。
ここでは、妊娠/出産にかかる費用と、関連する公的な補助制度を詳しく見ていきましょう。
妊婦健診の費用(約10万円)は自治体の補助で実質無料のところも
費用目安は約10万円
妊娠が判明すると、出産までの期間、「妊婦健診(妊婦健康診査)」を受けることになります。
基本は下記のように、合計14回病院に行き、健診を受けます。
- 妊娠初期~23週 (4週間に1回・計4回)
- 24週~35週 (2週間に1回・計6回
- 36週~出産まで (1週間に1回・計4回)
健診費用は1回あたり5,000円~10,000円と幅があり、合計額の平均は約10万円と言われています。
自治体の補助で実質無料のところも
10万円と聞くと驚きますが、妊婦健診の費用は各自治体にある助成制度を活用すれば、大きく負担を減らすことができます。
中には全額負担してくれる自治体もあります。
具体的には、各自治体からクーポン(補助券や無料券)を受け取ります。母子健康手帳交付時に渡されることが多いようです。
健診時に、病院でクーポンを提出すれば、健診費用が一部負担で済む、もしくは無料になります。
自治体によって補助金額の上限が異なりますので、必ず自治体のホームページ等で確認しておきましょう。
その他検査費用(2,000円~10,000円/回)についても補助がある場合も
妊婦健診以外にも任意で検査を受ける場合(血液検査、超音波検査、乳がん検診、子宮頸がん検診、風しん予防接種等)には別途費用がかかります。
こちらも基本的には健康保険が適用されず、1回あたりにかかる費用は2,000円~10,000円程度となっています。
自治体によっては助成がある場合があります。必ず自治体のホームページ等で確認しておきましょう。
出産準備品(マタニティウェア・赤ちゃん用品)の費用は約15万円
マタニティウェアの費用目安は約5万円
マタニティウェアは、着られる期間が短いので、大きめの普通の服で間に合わせるなど、アウターは買わずにすませる人もいます。季節によっても変わってくるようです。
ただし、インナーは専用のものが安心かつ快適です。
マタニティウェアの費用
アイテム | 価格帯 |
マタニティブラ | 1,500円~ |
マタニティショーツ | 1,000円~ |
産褥ショーツ | 1,500円~ |
妊娠帯(腹帯) | 3,000円~ |
妊娠帯(ガードル) | 2,000円~ |
妊娠帯(腹巻きタイプ) | 1,500円~ |
マタニティパジャマ | 2,000円~ |
マタニティウエア(上) | 3,000円~ |
マタニティウエア(下) | 5,000円~ |
赤ちゃん用品の費用目安は約10万円
赤ちゃんに必要な基本的なアイテムは、出産前に準備しておきます。
短期間で揃えるのは大変なので、少しずつ買いそろえておきましょう。レンタルやお下がりも上手に利用すれば比較的安く抑えられます。
・入院用品(パジャマ・タオル・洗面用具などの日用品)
・ベビーウェア
・授乳用品(哺乳びん、哺乳びん消毒器、粉ミルクなど)
・ベビー用寝具(ベビーベッド、ふとん、枕など)
・おむつ替え用品(おむつ、おしりふきなど)
・衛生用品(ベビーバス、体温計、ベビー用せっけん/シャンプーなど)
・お出かけ用品(ベビーカー、チャイルドシートなど)
・おもちゃ
出産費用の目安は約50万円
ほとんどの方が病院で出産をしますが、出産の際は
・入院費(部屋代、食事代、新生児管理保育料など)
・分娩費(分娩介助、胎盤処理の費用など)
・新生児の検査費用
などの費用がかかります。それらの費用は基本健康保険が適用されず、全額自己負担となります。
国民健康保険中央会によると、正常分娩の場合にかかる平均費用は505,759円となっています。
(出典)公益社団法人 国民健康保険中央会 平成28年度 出産費用の全国平均値、中央値
出産費用は病院や部屋のタイプによって変わる
(1)病院の種類
正常分娩の場合にかかる平均費用
病院(入院用ベッド数が20以上) | 511,652円 |
診療所(入院用ベッド数が20未満) | 501,408円 |
助産院 | 464,943円 |
(出典)公益社団法人 国民健康保険中央会 平成28年度 出産費用の全国平均値、中央値
平均費用で言えば、助産院が安価な傾向がありますが、大きな差はないようです。
(2)部屋のタイプ
例えば、入院する部屋を個室にすると費用が高くなります。
個室料金は1日当たり5,000円~数万円と幅があります。正常分娩での出産における平均入院日数は6日ですので、大きな差になります。
個室は費用がかかりますが、ゆっくりと気を使わずに赤ちゃんや家族と過ごすことができます。
一方、大部屋は他のママたちとも交流したり、費用を安く抑えることができます。
(3)その他
他にも、サービスの充実した個人病院を選んだり、無痛分娩を希望すると費用が高くなります。
平均費用約50万円というのはあくまでも参考程度と考えておきましょう。
総合病院、産科専門の病院、助産院の特徴
出産場所は主に総合病院、産科専門の病院、助産院の3つがあり、下記のような特徴があります。
<総合病院>
・診療科目が多岐にわたるため、母子に予期せぬ容態の変化があった場合にも迅速で的確な処置を期待できる
・設備が充実しているところが多い
・診察が混んでいて長時間待たされることがある
・対応がマニュアル主体になってしまうことがある
<産科専門の病院>
・産科に特化している
・アットホームな雰囲気やきめ細かなケア、おいしい食事等が期待できる
・全室個室、エステ付というような豪華な病院だと費用が100万円を超えることもある
・母子に予期せぬ容態の変化があった場合には総合病院等との連携が必要になる
<助産院>
・帝王切開や陣痛促進剤の投与、吸引分娩といった医療行為を行わずに母子の自然な力で出産することを目的とした施設
・メンタルも含めた親身な対応、よりきめ細かいケアが期待できる
・「自宅で出産したい」「布団の上で出産したい」等、母親の希望するスタイルでの出産を実現しやすい
・医療行為が行えないため、母子に予期せぬ容態の変化があった場合、総合病院等との連携が必要になる
出産の時には何が起こるか分かりません。母子の容態が急変し、帝王切開を選ぶ必要も出てきます。母子ともに安全に出産することを選ぶなら、急な容態の変化にも対応できる総合病院の方が良いと言えるでしょう。
出産育児一時金が42万円支給される
平均出産費用の約50万円全てをカバーすることはできませんが、健康保険から出産育児一時金が42万円支給されますので差額分を準備できればよいことになります。
出産育児一時金とは
出産育児一時金とは健康保険の制度です。
・4ヵ月(85日)以上で出産したとき、1児につき42万円がとして支給されます。
・双子の場合は2人分支給されます。
・自然分娩、帝王切開だけでなく、早産、流産、死産、人工妊娠中絶のいずれについても支給対象となります。
・妊娠22週未満での出産や、産科医療補償制度に未加入の医療機関等における出産の場合は40.4万円の支給となります。
・勤務先や自治体によっては、さらに独自の上乗せ給付をしているところもあります。
出産育児一時金の受け取り方に注意が必要
出産費用をカバーしてくれる「出産育児一時金」ですが、ポイントとなるのはその受給方法です。
・事後払い方式
・直接支払制度または受取代理制度
の2つがあります
<事後払い方式>
被保険者(妊婦)が出産費用を全額医療機関に支払った後に、健康保険から出産育児一時金を受け取る方式です。
一度窓口で出産費用の全額を一度支払う必要があります。
<直接支払制度または受取代理制度>
出産育児一時金の支払が病院と健康保険組合等とのやりとりで完結する方式です。
※直接支払制度、受取代理制度どちらかになるかは、出産する医療機関がどちらの制度を実施しているかで決まります。多くの医療機関の場合は直接支払制度、小規模届出医療機関等の場合受取代理制度となります。
出産費用が42万円を超えた差額分だけを妊婦側が支払えばよいので、大きな金額を準備しなくて良いというメリットがあります。
もし出産費用が42万円未満の場合、申請を行うことで後日差額が支給されます。
いつどうやって申請するの?
出産する医療機関等が決まったら、保険証を医療機関等に提示のうえ、出産育児一時金の申請・受取に係る代理契約を締結します。(直接支払制度または受取代理制度の場合)
ライフプランや保険のことも考える時期
出産に関する費用を知って、公的な補助制度を活用する、それ以外にも出産を迎えるにあたってやっておきたいことがあります。
子どもが生まれることで家庭に大きな変化が起きるので、ライフプラン(将来設計)や保険についても考えることが大切になります。
出産により家計に起きる経済的変化
出産により、家計には下記のような様々な経済的な変化が起こります。
・退職による収入減
・産休育休による収入減
・児童手当による収入増
・子どもが生まれることによる生活費や教育費の増加
特に、子どもが大きくなるにつれ教育費は大きく増加するので、子どもが生まれるときから将来の支出に対してどう備えるか計画を立てる必要があります。
連動して、万が一の時に必要な生活費等が増えるので、生命保険の保険金額を見直す必要があります。
ライフプランによって将来の支出は変わってくる
子どもが生まれることで家計の支出は増えていきますが、増え方は家庭によって異なります。
例えば、子どもの教育プランひとつとっても、「公立か?私立か?」等によってかかる教育費も大きく変わってきます。
子どもの教育プランはどうするのか、出産を機に退職するのか、育児と仕事を両立させていくのか、どのタイミングで仕事に戻るのか、マイホームはいつ取得するのか、などをパートナーとじっくり話し合ってみましょう。
妊娠・出産に備える医療保険
一方、帝王切開等の異常分娩となった場合の入院費用や手術費用に備えたい場合には、民間の医療保険を検討すると良いでしょう。
医療保険に加入していれば、健康保険の対象となった入院や手術に対し、給付金(入院給付金・手術給付金)を受け取ることができます。
医療保険の加入時期は妊娠前がベストです。
妊娠中に加入する場合には、母子手帳に初回診察記録をされた日から妊娠26週目までであれば、商品や年齢によりますが妊婦の方でも医療保険に加入できる可能性が高いです。
ただし、「特定部位の不担保」という条件が付き、異常分娩に伴う入院・手術をしても保障の対象外となってしまう可能性もあります。
やはり、医療保険の加入は妊娠前にしておくことが望ましいと言えます。
ふたりでじっくり話し合う時間を
子どもが生まれると、忙しくて将来のライフプランや保険の事について検討する時間がなかなか取れないことが多いので、赤ちゃんがおなかの中にいる時にママ、パパがゆっくりと話し合うことができるといいですね。
妊娠を考えている、または妊娠が判明したらライフプランや保険の事についても早めに考えていきましょう。