火災保険と火災共済の違いとは?メリット・デメリットを解説

(最終更新日:2021年10月12日)

火災保険と似たような制度として「火災共済」があります。
どちらも住宅を補償対象にするという点では同じですが、補償内容や根拠となる法律などに違いがあります。
今回は、火災保険と火災共済の違いやメリット・デメリットを解説していきます。

火災保険とは

火災保険は、建物や家財を補償の対象とする保険で、民間の損害保険会社が運営提供しています。

火災だけでなく、下記のさまざまな被害に対して補償されます。

 

火災保険で補償される災害

災害事故の例(建物への被害)
火災火災により家が全焼してしまった
落雷落雷の影響で玄関の電気錠の操作パネルが動かなくなってしまった
破裂、爆発ガス漏れにより破裂・爆発が発生、家屋が損傷した
風災台風による強風のため屋根瓦が壊れてしまった
雪災大雪でカーポートの屋根が破損した
雹(ひょう)災雹で窓ガラスが割れた
水濡れ水道管の破損によって天井や壁紙が汚れてしまった
外部からの物の落下、飛来自動車が運転を誤って敷地内に突っ込み、家屋の外壁を壊してしまった
騒擾(そうじょう)労働争議等に伴う暴力行為があり建物が損害を受けた
盗難空き巣が侵入し、窓ガラスやドアが壊されてしまった
水災洪水によって床上浸水し、壁や床が汚れてしまった
破損、汚損ソファーを移動していたら、ドアにぶつけて破損してしまった

※契約によって補償範囲が異なります。

 

 

 

火災共済とは

そもそも共済とは

「共済」とは生協や労働組合、JA(農業協同組合)、JF(漁業協同組合)などの非営利団体が行っている保障事業です。

将来発生するかもしれない事故に備えて組合員がお金を出し合い、万が一事故が起こったら出し合ったお金で保障し合うという、相互扶助の仕組みです。

ちなみに「共済」とは「お互いに助け合う」という意味の言葉です。

 

 

火災共済とは

火災共済は、住宅の火災、落雷、破裂・爆発、外部からの物体の落下・飛来などによる被害を保障します。

火災共済の種類には、「都道府県民火災共済」「全労済(CO・OP共済)」「JA共済」などがあります。

 

 

 

火災保険と火災共済の違い

火災保険も火災共済も、火災や風水害などの災害に対する補償がある点は同じです。

ここでは、火災保険と火災共済の違いをみていきましょう。

 

火災保険と火災共済の違い

火災保険火災共済
運営主体民間の損害保険会社生協・労働組合・JAなど
加入対象者不特定多数の人原則、各共済団体に加入している組合員
補償内容幅広い・充実シンプル・最低限
補償のカスタマイズ自由度が高い自由度が低い
風水害の補償免責金額を超えた金額について、最大保険金額と同額の補償限度額が保険金額より小さい場合がある
地震保険公的地震保険を付帯可能公的地震保険を付帯できない

共済によっては独自の地震補償が付帯可能

保険料(掛け金)比較的高い比較的安い
割戻金制度なしあり

 

 

火災保険と火災共済の違い 運営主体

火災保険は、民間の損害保険会社が運営しています。保険会社は民間企業であるので利益を求めて活動しています。

一方、火災共済は生協や労働組合、JA(農業協同組合)、JF(漁業協同組合)などの非営利団体が運営しています。

 

 

火災保険と火災共済の違い 加入対象者

火災保険は、不特定の人を対象に提供されています。

火災共済は特定の職業や地域、組合員など限定した人を対象に提供されています。(ただし、多くの場合、1000円程度の出資金を払うなど、簡単な手続きで組合員等になれますので、そこまでハードルは高くないでしょう。)

 

 

火災保険と火災共済の違い 補償内容

火災保険を運営する損害保険会社は営利を目的としているため、他社との競争があります。そのため、補償内容やサービスが充実している傾向にあります。

火災保険の補償範囲は「火災・落雷・破裂、爆発・風災・雪災・雹(ひょう)災・水濡れ・外部からの物の落下、飛来・騒擾(そうじょう)・盗難・水災・破損、汚損」と幅広いです。

一方、火災共済は組合員の最低限の保障確保のを目的としているため、保障範囲は「火災、落雷、破裂・爆発、外部からの物体の落下・飛来など」と比較的シンプル・最低限なものになっています。

 

 

火災保険と火災共済の違い 補償のカスタマイズ

火災保険は保険会社と契約者が1対1で契約する形態です。そのため、火災保険は自分で補償内容を比較的自由に設定できます。

自分の希望や必要に応じていらないものを外したり、特約によってさらに補償範囲を広げるなど、細かくカスタマイズすることができます。

 

火災共済は1つの契約を組合員全員で共有しているような形態です。そのため、加入者全員がパッケージ化された同じプランになるため、カスタマイズの自由度が低いという側面があります。

 

 

火災保険と火災共済の違い 火災以外の自然災害に対する補償

火災保険は火災以外の自然災害(風災・水災など)に対しても火災に対する補償と同額の保険金が受け取れます。

一方、火災共済では、火災以外の自然災害に対する共済金は、火災に比べて限度額が小さくなっていることが多いです。

 

各火災共済の風水害の補償内容

火災共済風水害の補償内容
新型火災共済(都道府県民共済)2000万円以上の建物に対し、最大で600万円
火災共済(全労済)2000万円の建物に対して最大150万円
自然災害保障付火災共済(全労済) 標準タイプ2000万円の建物に対して最大1150万円
自然災害保障付火災共済(全労済) 大型タイプ2000万円の建物に対して最大1550万円
建物更生共済むてき(JA共済)2000万円の建物なら、最大2000万円まで

 

 

火災保険と火災共済の違い 地震保険

地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。

地震保険では、大地震による巨額の保険金の支払いに備えて政府がバックアップしています。

 

火災保険に加入していれば、地震保険に加入することができます。

地震保険はどの保険会社でも補償や保険料は同一で、火災保険金額の最大5割までが付帯できます。

 

一方、火災共済では地震保険を契約することができません。

ただし、地震に対する備えがないというわけではなく、地震共済など地震について保障する別の共済に加入したり、火災共済の特約として地震に対する保障が用意されていたりします。

 

各火災共済の地震補償の内容

火災共済地震の補償内容
自然災害保障付火災共済(全労済)標準タイプ火災共済金額の20%
新型火災共済(都道府県民共済)・地震等で半焼・半壊の損害に対し、加入金額の5%、かつ最大300万円。
・家族の死亡に対して最大500万円(1名100万円)限度の見舞金。
建物更生共済むてき(JA共済)公的地震保険と同様、火災共済金額の最大5割までが補償。(損害額が火災共済金額の5%以上であれば、実損害額の5割までが補償される)

 

 

火災保険と火災共済の違い 保険料(掛け金)

火災保険を運営する損害保険会社は営利を目的としているため、他社との競争があります。そのため、補償内容やサービスが充実している傾向にあり、保険料も高くなる傾向があります。

火災共済は非営利かつ、組合員の最低限の補償確保のを目的としているため、掛け金が火災保険に比べ安い傾向があります。

 

 

火災保険と火災共済の違い 割戻金制度

火災保険には、割戻金制度はありません。

火災共済の場合、共済金の支払いが予測より少なかったなどして剰余金が生じた場合には、それが契約者に還元されます。

 

 

火災保険と火災共済の違い 用語

火災保険と火災共済では使われる用語が異なります。例えば、火災保険においての「保険金」「保険料」「補償」は、共済ではそれぞれ「共済金」「掛け金」「保障」となります。

 

 

 

火災保険と火災共済の保険料(掛け金)の比較

火災共済よりも火災保険の方が保険料が高い傾向にあることが分かりましたが、どのくらい保険料の違いがあるのでしょうか。

一例ではありますが、火災保険と火災共済の保険料(掛け金)を比較してみましょう。

 

見積もり条件

物件所在地:東京都

建物:新築の木造戸建て住宅(H構造)

延べ床面積:100㎡

建物の価格:1900万円

契約期間:1年間

 

火災保険の補償内容と見積もり結果

地震保険なしの保険料(年払い) : 22,550円

地震保険ありの保険料(年払い) : 62,640円

商品名:THEすまいの保険 標準プラン(損保ジャパン) 

補償内容:火災、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災、水災、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など、漏水などによる水濡れ、盗難による盗取・損傷・汚損、騒擾(そうじょう)・集団行動などに伴う暴力行為 *地震保険の補償は火災保険金額の50%

(出典:損保ジャパン クイック試算

 

火災共済の保障内容と見積もり結果

地震特約なしの保険料(年払い) :15,200円

地震特約ありの保険料(年払い) : 28,880円

商品名:新型火災共済(都民共済) 

補償内容:火災、落雷、破裂・爆発、車両の衝突、他人の住居からの水漏れ、突発的な第三者の直接加害行為(損害額が5万円未満のものを除く)、建物外部からの物体の落下・飛来 *地震の補償は火災共済金額の20%

(出典:都民共済 新型火災共済

 

火災保険の方が火災共済よりも保険料が高いことが分かります。

当然ながら、火災保険と火災共済では補償内容が異なる(赤字部分)ので、その前提での比較にはなります。

 

 

 

火災保険と火災共済のメリット・デメリット

ここまでで、火災保険と火災共済の違いがお分かりいただけたかと思います。

ではどちらにしたらいいのか?ということについては、それぞれのメリットとデメリットを比較することが重要です。

では、火災保険と火災共済、それぞれのメリットデメリットを見ていきましょう。

 

火災保険のメリット

・補償範囲が広い

・補償やサービスが手厚い

・補償のカスタマイズの自由度が高い

・火災以外の自然災害についても火災と同額の補償を受けられる

・公的地震保険に加入できる

 

火災保険のデメリット

・保険料が高い傾向にある

・割戻金制度がない

 

 

火災共済のメリット

・掛け金が安い傾向にある

・割戻金制度がある

 

火災共済のデメリット

・保障内容はシンプル、最低限

・保障のカスタマイズの自由度が低い

・火災以外の自然災害に対する保障が小さい場合がある

・公的地震保険に入れない

・地震に対する保障が付帯できるが、公的地震保険と比べると、保障が小さい傾向がある

 

 

 

火災保険と火災共済、どちらを選ぶ?

では、火災保険と火災共済のどちらを選べばよいのでしょうか。

前述の火災保険と火災共済のメリット・デメリットを見てわかる通り、一言でいうと

火災保険:充実した補償で自由度も高いが、保険料は高い

火災共済:最低限の保障で自由度は低いが、掛け金は安い

となります。

つまり、補償内容と保険料どちらを重視するか?ということになります。

下記に火災保険/火災共済を選ぶと良い人の例を紹介します。

 

火災保険を選ぶと良い人

・補償を充実させたい

・火災以外にも自然災害が心配(地震、風水害)

 

火災共済を選ぶと良い人

・保険料(掛け金)を安くしたい

・火災を中心とした最低限の保障に特化したい

・自然災害に対するリスクが小さい地域に住んでいるので、自然災害に対する保障は重視しない

 

風水害や地震への備えをどうするかがポイント

特に近年、風水害が多発しており、火災だけでなく自然災害全般への補償の重要性が増しているため、火災以外の自然災害への補償をどうするか、慎重に検討することが重要です。

【火災保険】水害(豪雨/台風)多発だが水災補償なし世帯3割超?火災保険で備えるポイントを解説

近年の状況からすると、「最も心配な自然災害は水災と地震だ」という人は多いでしょう。

「大きな河川の近くに住んでいる」「いつ大地震が起こるか心配」といった人は、火災保険に加入して水災・地震の補償を付けると良いでしょう。

 

 

 

まとめ

火災保険と火災共済は似ていますが、別物であることがお分かりいただけたかと思います。

火災や自然災害への備えを検討する際は、自分自身の住んでいる地域のハザードマップなどを確認し、火災だけでなく水災や風災、地震への補償がどの程度必要になるのかを踏まえ、双方の違いやそれぞれのメリット、デメリット、補償と保険料のバランスを検討した上で選びましょう。

 

 

 

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この記事の著者

實政 貴史
ファイナンシャルプランナー

2007年に株式会社F.L.Pに入社。ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、保険業界経験13年で得た知識を活かし、保険相談サロンFLPサイトの1500本以上の記事を執筆。併せて、保険相談サロンFLP YouTubeチャンネルにて様々な保険情報の解説、毎日新聞ライフコンシェルジュ生活の窓口オンラインセミナーなどでセミナーも行う。