長期入院に対する必要な備えとは?近年の傾向とリスクを解説します。

(最終更新日:2019年12月18日)

病気などで入院した時の平均入院日数は短くなってきており、それに合わせ、民間の医療保険で保障される入院の限度日数も短いものが主流になってきています。しかし、もし長期間入院することになった時は大丈夫なのでしょうか?長期入院した時への備えについて考えてみましょう。

平均入院日数は短期化傾向

平均在院日数の推移  

(出典)厚生労働省 平成2年~平成23年「患者調査」
※平成23年は宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏及び福島県を除いた数値

 

厚生労働省が3年ごとに調査している「患者調査」によると、病気やケガで入院した時の平均在院(入院)日数は、短期化傾向にあります。平均在院日数は年々短くなっており、平成2年の44.9日と比較した場合、21年間で12.1日も短縮しており、平成23年は32.8日となっています。
これは、政府による医療費抑制政策にも一因があります。国は病院が長期入院患者を抱えるほど、受け取る診療報酬を少なくなる仕組みにしています。病院側は経営を成り立たせるために長期入院を抑制せざるを得ない状況があるのです。
そんな背景から、最近の医療保険のトレンドは1入院60日までというものが主流になっています

 

9割以上の患者は60日以内の入院

直近の入院時の入院日数

(出典)生命保険文化センター「生活保障に関する調査(平成25年度)」直近の入院時の入院日数

 

入院経験がある人の、直近の入院における入院日数は、平均で19.7日となっています。実に入院経験がある人95.6%の人は60日以内の入院で退院しています。

 

傷病別にみた平均の入院日数

傷病別平均在院日数

主な傷病 平均入院日数
全体 32.8
ウィルス肝炎 15.4
食道、胃及び十二指腸の疾患 15.9
結腸及び直腸のがん 17.5
肝及び肝内胆管のがん 18.6
気管、気管支及び肺のがん 21.7
心疾患(高血圧性のものを除く) 21.9
胃がん 22.6
肝疾患 27.4
糖尿病 36.1
高血圧性疾患 41.2
結核 65.4
脳血管疾患 93.0
アルツハイマー病 236.3
血管性及び詳細不明の認知症 359.2
統合失調症等 561.1

(出典)厚生労働省 平成23年「患者調査」

 

一方、傷病別に平均在院日数を見てみると、傷病によっては入院日数が長期になる場合もあります。
入院(在院)日数が比較的長期になるのは「精神及び行動の障害」「神経系の疾患」「循環器系の疾患」が多く、入院日数が平均で1年を超えるような傷病もあります。

 

長期入院のリスク

医療費の負担

長期の入院になった場合の医療費負担を考えてみましょう。高額療養費制度を使えば、一般的な収入の人なら1ヵ月9万円程度、4ヶ月目からは一律44,400円の支払いで済みますが、それでも医療費の支払いは大きな負担になります。

 

収入減

長期入院による大きなリスクは、働けなくなることで収入が減る、またはストップすることです。
会社員であれば、傷病手当金といって、休業から最大1年6か月まで報酬の約3分の2に相当する額を受け取れる制度がありますが、全額受け取れる訳ではないので余裕があるとは言えないでしょう。
自営業者には傷病手当金という制度そのものがありませんので入院イコール収入減につながってしまいます。

 

長期入院に医療保険で備えるには

このように、長期入院に対しては60日型の医療保険ではカバーできないことがあります。
長期入院した時も保障したい場合、1入院の限度日数が長い医療保険を選ぶ方法があります。主流は60日型ですが、730日型や1095日型といった医療保険もあります。

まとめると

・平均入院日数は短期化の傾向にありますが、病気によっては長期入院になってしまう可能性があります。
・長期入院の場合、医療費の負担だけでなく、収入減のリスクもあります。
・長期入院に備えるには、1入院の限度日数が長い医療保険を選ぶ方法があります。

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