遺族年金は3種類?対象者、受給要件、勤務形態別の受給額は?

公的保障

遺族年金は3種類?対象者、受給要件、勤務形態別の受給額は?

遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計が維持されていた遺族が受けることができる年金です。
例えば、一家の大黒柱である世帯主が亡くなった多くのご家庭では、今後の生活に対してとても不安に感じると思います。
遺族年金は、そのような方々をサポートする制度ですが、非常に複雑ですので、ここでは極力分かりやすく解説いたします。

遺族年金の種類と対象者一覧

遺族年金は、「遺族基礎年金」、「遺族厚生年金」、「遺族共済年金」の3種類で構成されていましたが、2015年10月に、「遺族共済年金」は「遺族厚生年金」に一元化されたため、現在は「遺族基礎年金」、「遺族厚生年金」の2種類となっています。

なお、2015年9月末までに亡くなった被保険者のご世帯では、引き続き「遺族共済年金」を受け取っています。

 

一方、上記以外の年金を受給できない方への遺族給付制度として「寡婦年金」や「死亡一時金」が支給されるケースがあります。

また、勤務中の事故等でお亡くなりになるケースについては、別途、労災保険の「遺族補償年金」が支給対象となります。

遺族年金といっても、これらのように様々なケースがありますので、それぞれについて分かりやすく解説いたします。

 

遺族年金の種類と対象者

被保険者(死亡者)受給対象者遺族年金の種類
自営業18歳未満の子供がいる「妻」遺族基礎年金
子供がいない「妻」寡婦年金または死亡一時金
会社員・公務員18歳未満の子供がいる「妻」遺族基礎年金+遺族厚生年金
子供がいない「40歳未満の妻」遺族厚生年金
子供がいない「40歳から65歳の妻」遺族厚生年金+中高年齢寡婦を加算

 

(1)遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者または老齢基礎年金の受給資格を満たしている方が亡くなったときに支給されるもので、自営業者や会社員の方々も支給される遺族年金の1つです。

但し、遺族基礎年金は、18歳未満の子供を支えることを目的としていますので、子供がいない世帯には支給されません(受給条件の詳細は以下の通り)。

 

遺族基礎年金の受給条件

遺族基礎年金の条件詳細
給付条件・被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した場合(但し、保険料納付期間が加入期間の2/3以上あること)

・被保険者の死亡時点から前々月までの1年間の間で保険料の滞納がない場合

給付対象・18際未満の子供がいる「妻または夫」

・18歳未満の子供(障害年金の障害等級1級または2級の場合は20歳未満)

※死亡した者によって生計を維持されていたことが前提

給付額・779,300円+子供の人数加算

※子供が1人:1,003,600円(779,300円+224,300円)

※子供が2人:1,227,900円(779,300円+224,300円×2)

※子供が3人:1,302,700円(779,300円+224,300円×2+74,800円)

※子供が4人目以降の場合:1,302,700円+4人以降の子供1人につき74,800円

支給期間・子供が18歳になるまで(18歳の年度末である3月31日まで)

 

 

(2)遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、厚生年金加入者が亡くなったときに支給されるもので、18歳未満の子供がいない世帯でも支給対象となります。

これまでは、主に会社員の方が対象となる年金でしたが、遺族共済年金との一元化されていますので、現在では公務員の方も対象となります(受給条件の詳細は以下の通り)。

 

遺族厚生年金の受給条件

遺族基礎年金の条件詳細
給付条件・被保険者が死亡した場合、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡した場合(但し、保険料納付期間が加入期間の2/3以上あること)

・被保険者の死亡時点から前々月までの1年間の間で保険料の滞納がない場合

・老齢厚生年金の受給期間が25年以上ある者が死亡した場合

・障害厚生年金(1級・2級)を受けられる者が死亡した場合

給付対象・妻

・18歳未満の子供、孫(障害年金の障害等級1級または2級の場合は20歳未満)

・55歳以上の夫、父母、祖父母(支給は60歳から)

※死亡した者によって生計を維持されていたことが前提

給付額・夫が本来受け取る予定だった厚生年金の3/4
支給期間・妻の場合は一生涯支給

※夫の死亡時に妻の年齢が30歳未満で子供がいない場合は5年間の支給

※妻の年齢が40歳から65歳になるまでの期間は年額584,500円が加算(中高齢寡婦加算)

・子供・孫の場合は18歳の年度末まで(障害年金の障害等級1級または2級の場合は20歳未満)

・夫・父母・祖父母の場合は60歳以降から一生涯

 

参考:中高齢寡婦加算

遺族厚生年金は、妻の年齢が40歳から65歳までの間、年額584,500円が加算されます。

これを「中高齢寡婦加算」といい、受給条件は以下の通りです。

(支給条件)

・夫がなくなったときに妻の年齢が40歳以上65歳未満であり、生計を同じくする18歳未満の子供がいない場合

・遺族基礎年金や遺族厚生年金を受給する子供が18歳を超え受給資格がなくなった場合

 

 

(3)遺族共済年金

遺族共済年金とは、公務員を対象にした遺族年金制度です。

但し、先ほど説明した通り、現在は遺族厚生年金に一元化されていますので、新規での受給は行っていません。

現在、遺族共済年金を受け取っている方は、2015年9月30日までに亡くなった被保険者のご世帯に限られます。

受給条件は遺族厚生年金の箇所をご確認ください。

 

 

遺族給付制度の種類と受給条件

遺族給付制度とは、国民年金や厚生年金保険の保険料を支払っていたものの、遺族年金の受給条件に満たないため、遺族年金の受け取りが出来ない場合の救済策として、「寡婦年金」と「死亡一時金」の2種類が設けられています。

但し、どちらかしか受け取ることが出来ないので、それぞれの受給条件を確認してみましょう。

 

(1)寡婦年金

寡婦年金とは、第1号被保険者として保険料を納めた期間が10年以上あり、以下の受給条件を満たした場合、妻の年齢が60~65歳までの間に受給できる制度となっています。

 

寡婦年金の受給条件

寡婦年金の条件詳細
給付条件・第1号被保険者として保険料を納めた期間が10年以上ある場合

・婚姻関係が10年以上あり、夫によって生計が維持されている場合

※死亡した夫が、障害基礎年金の受給権者や老齢基礎年金を受けたことがある場合は対象外

※妻が老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けている場合は対象外

給付対象・妻
給付額・夫が本来受け取る予定だった老齢基礎年金の3/4
支給期間・妻の年齢が60歳から65歳までの間

 

(2)死亡一時金

死亡一時金とは、第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上あり、以下の受給条件を満たした場合、1回だけ受給できる制度となっています。

 

死亡一時金の受給条件

死亡一時金の条件詳細
給付条件・第1号被保険者として36月以上の間、保険料を納めている場合

・遺族が遺族基礎年金を受給できない場合

・寡婦年金を受け取らない場合

※死亡した夫によって生計を維持されていたことが前提対象外

給付対象・妻→子供→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹というように優先順位が高い順で受給
給付額・保険料を納めた月に応じて120,000円~320,000円受給

・付加保険料を36月以降納めていたときは85,000円が加算

※権利時効は死亡の翌日から2年間

支給期間・1回のみ

 

 

労災保険の遺族補償年金

遺族補償年金とは、労働者災害補償保険(労災)遺族補償年金です。

勤務中の事故等により亡くなった場合に、遺族の人数(受給権者および受給権者と生計を同じくしている受給資格者)に応じて年金を受け取ることができる制度です。

 

遺族補償年金の受給額

遺族人数遺族補償年金遺族特別支給金遺族特別年金
1人給付基礎日額の153日分300万円算定基礎日額の153日分
2人給付基礎日額の201日分算定基礎日額の201日分
3人給付基礎日額の223日分算定基礎日額の223日分
4人以上給付基礎日額の245日分算定基礎日額の245日分

 

 

遺族年金の目安

遺族基礎年金と遺族厚生年金の大まかな受給額が分かる早見表を作成しておりますので、確認していただければと思います。

 

(1)遺族基礎年金

先にも説明させていただきましたが、子供のいない世帯は受給対象外となっています。

 

遺族基礎年金の受給額目安

平均標準報酬月額
遺族基礎年金
妻のみ妻と子1人妻と子2人妻と子3人
20万円

62万円

0円年額1,012,800円

(月額84,400円)

年額1,239,100円

(月額103,258円)

年額1,314,500円

(月額109,542円)

 

(2)遺族基礎年金+遺族厚生年金(会社員)

・自営業の世帯は受給対象外となります。

・公務員の世帯は、旧遺族共済年金に沿って受給されますので、以下(3)をご確認下さい。

 

遺族基礎年金+遺族厚生年金(会社員)の受給額目安

平均標準報酬月額
遺族基礎年金+遺族厚生年金(年額)
妻のみ妻と子1人妻と子2人妻と子3人
20万円324,911円1,337,711円1,564,011円1,639,411円
25万円406,139円1,418,939円1,645,239円1,720,639円
30万円487,366円1,500,166円17,226,466円1,801,866円
35万円568,594円1,581,394円1,807,694円1,883,094円
40万円649,822円1,662,622円1,888,922円1,964,322円
45万円731,050円1,743,850円1,970,150円2,045,550円
50万円812,277円1,825,077円2,051,377円2,126,777円
55万円893,505円1,906,305円2,132,605円2,208,005円
60万円974,733円1,987,533円2,213,833円2,289,233円
62万円1,007,224円2,020,024円2,246,324円2,321,724円

 

(3)遺族基礎年金+遺族厚生年金(公務員)

会社員の世帯に比べて、受給額が多くなっています。

 

遺族基礎年金+遺族厚生年金(公務員)の受給額目安

平均標準報酬月額
遺族基礎年金+遺族厚生年金(年額)
妻のみ妻と子1人妻と子2人妻と子3人
20万円377,192円1,389,992円1,616,292円1,691,692円
25万円471,490円1,484,290円1,710,590円1,785,990円
30万円565,788円1,578,588円1,804,888円1,880,288円
35万円660,086円1,672,886円1,899,186円1,974,586円
40万円754,384円1,767,184円1,993,484円2,068,884円
45万円848,682円1,861,482円2,087,782円2,163,182円
50万円942,980円1,955,780円2,182,080円2,257,480円
55万円1,037,278円2,050,078円2,276,378円2,351,788円
60万円1,131,576円2,144,376円2,370,676円2,446,076円
62万円1,169,295円2,182,095円2,408,395円2,483,795円

 

 

まとめ

遺族年金は、一家の大黒柱がお亡くなりになった場合、今後の生活に不安を感じるご世帯の方々をサポートする制度ですが、これまで説明してきましたように制度は非常に複雑となっています。

しかしながら、ご加入の年金制度(国民年金、厚生年金)やお子様の人数によって、受給額に大きな格差が生じます

教育資金などを含めたお子様を育てる費用、今後の生活資金等を考えると、ご家族の不安な気持ちは全て解消される訳ではありません。

 

そのような不安を解消するための1つの方法として、近年、お給料や遺族年金と同じように毎年保険金を受け取ることができる「収入保障保険」を取扱っている生命保険会社が多くなっています。

これは、給与保障保険とも言われ、定期保険と比べてとても格安な保険料となっているため、ご加入される方が年々増えています。

(一般的にお子様の成長や住宅ローンの残債が減ることで必要保障額は年々減少していきます。収入保障保険の保障額もそれに合わせて年々減少するため、格安な保険料となるのです)

 

具体的には、収入保障保険加入時の保険金設定は「夫が65歳になるまで毎月15万円」というように契約しますので、

【ご遺族の毎月必要生活費=遺族年金の受給額+収入保障保険金】というように合理的に考えることが可能となるのです。

一度ご検討してみるのもよいかもしれません。

この記事の著者

ファイナンシャルプランナー

2007年に株式会社F.L.Pに入社し、現在「保険相談サロンFLP」サイトのプロダクトマネージャーを務める。

ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、保険業界経験13年で得た知識と保険コンサルティングの経験を活かし、保険相談サロンFLPサイトの専属ライターとして、本サイトの1500本以上の記事を執筆。

併せて、保険相談サロンFLP YouTubeチャンネルにてファイナンシャルプランナーとして様々な保険情報の解説も行っている。

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