自動車保険(任意保険)の落とし穴!対物補償保険が無制限補償なのに全額補償されない理由は?また「対物超過修理補償特約」とは?

(最終更新日:2020年09月28日)

過去のコラムにて自動車保険(任意保険)の対人補償保険や対物補償保険の補償額は無制限であることをお勧めしました。
実は対物補償保険を無制限補償にしていても、全額補償されない場合があることをご存じでしょうか?
今回は対物補償保険が無制限補償なのに全額補償されない原因とその対応策についてご説明致します。

対物補償が無制限補償なのに全額補償されない原因とは?

自動車保険(任意保険)において他人の所有物を壊してしまった時の賠償責任には対物賠償保険という補償があります。

対物賠償保険では法律の範囲内である賠償額の「時価」が限度額となり、修理費用がその限度額を上回ってしまった場合には

差額分は補償されません。具体例を元にご説明していきます。

 

前提条件は以下の通りです。

Aさん・・・加害者

Bさん・・・被害者

Aさんが運転している自動車が、Bさんの自動車に衝突。

過失割合はAさんが10割、Bさんが0割。

追突されたBさんの自動車の時価額が20万円。修理費が50万円。

 

このような場合、衝突されたBさんの自動車の補償はAさんの自動車保険(任意保険)の対物賠償保険から補償されます。

但し補償される金額は修理費の50万円ではなく、時価額である20万円が補償されます。

修理費との差額である30万円はAさんの自動車保険(任意保険)の対物補償保険からは払われません。

Aさんの賠償責任は時価額の20万円であり、修理との差額の30万円を支払う法的根拠はありません。

 

どんな場合に修理費が時価額を超える発生するのか?

修理費が時価額を超える発生するケースとしては、年式の古い自動車を乗っている場合に起こりやすいようです。

減価償却の観点から年式の古い自動車はどうしても時価額が安く評価される半面で、

修理費は高くなる現象が起こりやすいためです。

とはいってもBさんとしては修理が全額受け取ることが出来ず、なかなか納得はされないでしょう。

事故相手と円満且つ迅速に解決する為には何らかの対策を取っていたほうが良いかと思います。

 

対物超過修理補償特約とは?

そこで対物補償保険と合わせて持ちたい補償が「対物超過修理補償特約」です。

「対物超過修理補償特約」とは対物賠償責任保険で補償する事故で、相手方の車の時価額を超える修理費が

発生した差額分を負担する補償です。

今回の場合で考えると対物補償保険から20万円、対物超過修理補償特約から30万円部分が補償され結果的には

Bさんは修理全額の50万円を受け取ることができます。

 

対物超過修理補償特約の注意点は?

対物超過修理補償特約の注意点についてご説明致します。

 

修理には期限があること

損害が生じた日の翌日から一定期間内に、実際に修理された場合に限ります。

期限を過ぎてしまった修理や、実際には修理を行わなかった場合には対象外となります。

 

補償額には限度額があること

対物補償保険は無制限補償ですが、対物超過修理補償特約には限度額を設定している保険会社が多いようです。

当社で調べたところ限度額を50万円に設定している保険会社が多いようです。

本特約の限度額を超える高額の修理費には全額補償できない場合があります。

 

対物賠償責任は法的には「時価額」が限度額となり、それを上回る修理を補償する根拠はないものの、

事故相手と円満且つ迅速に解決する手段である「対物超過修理補償特約」は自動車保険(任意保険)に付加しても

損はない特約だと思います。

まとめると

対物補償保険を無制限補償に設定をしていても時価額を超える修理の場合には、
時価額を限度に補償されます。
その差額分を補填してくれる補償が対物超過修理補償特約です。
加害者側には時価額までが賠償責任範囲ですが事故相手と円満且つ迅速に解決する為に
対物超過修理補償特約も検討されておくと良いかと思います。

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