共済と生命保険・医療保険との違いとは?メリットデメリットを比較

(最終更新日:2019年12月18日)

共済と生命保険・医療保険の違い 概要編

共済と生命保険・医療保険、どちらを選ぶべきなのでしょうか。そもそも共済と生命保険、何がどう違うのでしょうか?

まず、共済と生命保険・医療保険は全く別のもので、取扱い金融機関やセーフティネットの有無なども違います。

まずは共済と生命保険・医療保険の違いについておおまかな部分を比較していきましょう。

 

共済と生命保険・医療保険の比較(1) 概要

共済 生命保険・医療保険
営利目的かどうか 非営利の事業 営利目的の事業
加入対象者 組合員とその家族 不特定多数
セーフティネット なし 生命保険契約者保護機構
取り扱い金融機関 全労災、JA共済、コープ共済、
都道府県民共済など
生命保険会社
監督官庁 厚生労働省(全労済/都道府県民共済/CO・OP共済)

農林水産省(JA共済)

金融庁
主な用語 ①掛け金
②共済金
③加入者
④割戻金
①保険料
②保険金
③契約者
④配当金

 

営利目的かどうか

保険会社は営利目的の事業ですが、共済は、営利を目的とせず組合員のための事業を行っています。

共済は、営利目的ではないため、資産の積極的な運用は行わず、国債や現預金などを中心とした堅実な運用に努めています。

 

加入対象

共済に加入するには組合員になる必要があります。

例えば、都道府県民共済では、共済事業の趣旨に賛同した人が出資金200円を払って組合員になることで加入できます。

また、組合員になるための条件も様々で、例えば、都民共済に加入できるのは「東京都内に居住または勤務している人」に限られます。

一方、保険は不特定多数の人が加入することができます。

 

セーフティネット

セーフティネットとは、保険を提供している運営会社(ここでは共済もしくは保険会社)が破たんしたときに契約を保護する仕組みのことを言います。

共済にはセーフティネットはありませんが、生命保険には生命保険契約者保護機構という仕組みがあり、生命保険会社が破たんしたとしても保険契約は継続します。

 

取り扱い金融機関

共済は全労災、JA共済、コープ共済、都道府県民共済などから加入することができます。

生命保険・医療保険は生命保険会社から加入することができます。

 

監督官庁

全労済/都道府県民共済/CO・OP共済の監督官庁は厚生労働省で、消費生活協同組合法を根拠法令としています。

JA共済の監督官庁は農林水産省で、農業協同組合法を根拠法令としています。

保険の監督官庁は金融庁で、保険業法を根拠法令としています。

 

用語の違い

共済を運営している協同組合では、保障事業を「保険」ではなく「共済」と呼んでいます。

そのため、たとえば「医療保険」のことは「医療共済」、「保険期間」のことは「共済期間」、「保険金額」のことは「共済金額」のように、保険会社とは異なる言葉を使っています。

ただ、言葉の違いで保障内容が大きく異なるようなことはありません。

 

 

 

共済と生命保険・医療保険の違い 商品内容編

次に、共済と生命保険・医療保険で商品内容はどのように違うのでしょうか。

 

共済と生命保険・医療保険の比較 (2)商品内容

共済 生命保険・医療保険
死亡保障額の上限 1千万円 2億円程度
保険料(掛金) 年齢、性別問わず一定

保険に比べ割安

年齢、性別で変わる

共済に比べ割高

配当(割戻金) 決算で剰余金があれば、割戻金を受け取れる 配当がある保険商品もある
保障内容 高齢になると保障が小さくなる  

・保障内容は保険期間内は一定

保障の設定自由度 低い

(死亡保障+医療保障など、セットの保障が多い)

高い

(死亡保険だけ、医療保険だけ、という加入も可能)

※一部記載と異なる商品もあります。

 

死亡保障額の上限に違いがある

共済の死亡保障額は上限が1,000万円となっています。

一方、生命保険は2億円程度となっており、高額な保障を持ちたい場合には生命保険が有効です。

 

保険料(掛金)

共済は、年齢による掛金や保障内容の差をなくして(高齢者や子供は除く)、仕組みを簡素化しています。そのため、掛金は年齢や性別を問わず一定となっています。

一方、生命保険は、多くの商品が1歳刻みで保険料が高くなる、また、性別によって保険料が異なります。

 

また、共済は共済期間が終身でない商品が多いといえます。

月々1,000円や2,000円くらいの掛け金で加入できる共済商品が多いので、保険に比べ保険料が安くなることが多いです。

 

配当(割戻金)

共済は、決算で剰余金があれば、「割戻金」として払い込んだ掛け金の一部が加入者に返金されます。絶対戻ってくるわけではありませんが、共済によっては30%前後戻ってくることもあります。

一方、生命保険は配当という制度があり、運用実績に応じて配当金を受け取れる商品もありますが、近年は配当付きの商品は非常に少なくなってきています。

 

保障内容

共済の場合、共済期間が80歳満了など、終身タイプでない商品が一般的です。そういった商品の場合、高齢になると保障額が減ったり、満了年齢に達すると保障が終了してしまいます。

保険商品の場合、終身タイプ、定期タイプどちらも選ぶことが可能です。

 

保障の設定自由度

共済の場合、死亡保障、入院保障、手術保障、通院保障などがひとつのパッケージになっていることが多いです。

例えば、通院保障だけを手厚くする、通院保障だけをなくす、といったカスタマイズはできません。

保険商品であれば、共済よりも自由に保障内容を設定することができます。

 

 

 

共済と生命保険・医療保険のメリット・デメリット

共済と生命保険のメリット・デメリットをまとめてみましょう。

共済 生命保険・医療保険
メリット ・比較的掛金が安い

・掛金が年齢、性別問わず一定

・公的なセーフティネットがある

・保障額の設定の自由度が高い

デメリット ・公的なセーフティネットがない

・保障額の自由度が低い

・共済に比べると保険料が割高

・年齢、性別によって保険料が変わる

共済の最大のメリットは掛金の安さ、それに対し、生命保険・医療保険のメリットは保障設定の自由度が高いというところだと思います。

 

 

共済の種類

共済にも大小様々ありますが、比較的大規模で展開している共済となると、下記の4つがあります。

 

全労済

労働組合委員・勤労者の福利厚生を目的としています。

共済の中では保障のバリエーションがあります。

 

都道府県民共済

居住地か勤務先のある都道府県の共済に加入できます。

転居する場合は移管手続きを行うことで保障を引き継げます。

ただし、8県(山梨県、福井県、鳥取県、徳島県、愛媛県、高知県、佐賀県、沖縄県)では行われていません。

 

CO・OP共済

居住地域のコープの組合員となることで加入できます。

 

JA共済

JA共済連の各都道府県の支部を通じて加入できます。

各地のJAで構成される農家でなくても准組合員として加入することができます。

 

大規模な共済になると、そろえている共済商品の種類も多く、生命共済、医療共済、がん共済、介護共済、こども共済などの生命保険系商品、さらには、火災共済や自動車共済など、損害保険系の商品をそろえている共済もあります。

 

 

 

共済と生命保険どちらを選べばいい?

共済と生命保険、どちらを選べばいいのでしょう。

共済と生命保険どちらがいいというものではなく、特徴に応じて自分に合ったものを選ぶことが大切です。

ここでは2つの場合を考えます。

 

(1)死亡保障を考えている

前述の通り、共済には死亡保障額の上限額がありますので、少額の保障の場合には共済が適している可能性があります。

ただし、共済は入院保障などもセットなので、単純に死亡保障だけを考えている場合には、単品の生命保険と、保険料の比較をすると良いでしょう。

万が一の遺族の生活保障といった数千万円の保障の場合は生命保険を検討しましょう。

 

(2)医療保障を考えている

一昔前までは共済の医療保障は種類が少なかったのですが、最近は終身タイプなど、さまざまなタイプの商品が発売されています。

そして、掛金(保険料)が割安なのが共済の大きなメリットです。

共済と医療保険、保障期間や保障内容や保険料をきちんと比較して自身に合うものを選びましょう。

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